【インタビュー】どうも、明石移住者です。原住民の方に家を作ってもらいました。(後編)
Writer:Y.U(施主本人)
家づくりに詰め込んだ愛着やこだわりを紹介してきたが、ここに至るまで多くの試行錯誤があった。
こんなにも夫婦で話し合って決めていくのは初めてだった。
結婚式の時も色々と決めるべきことは多かったが、何十年も住む家となるとより一層慎重になる。

そして、人生で最も高い買い物である”家づくり”をお願いするパートナー選びは絶対に失敗したくない。
この後編では「どのようなポイントを見て選ぶべきか」を、実体験をもとに綴る。
以下をご覧になっていない方は、ぜひこちらからどうぞ。
・前編(明石移住・物件との出会い):https://froghouse.top/archives/16439
・中編(完成した家を大公開):https://froghouse.top/archives/16538
鍵は「パートナー選び」にあり
リノベーション経験のない私たちは、最初どこに何をお願いすればいいかも分からず手探りのスタートだった。
フルリノベーションには、
・設計事務所に設計をお願いし、工務店に工事を依頼するパターン
・設計と工事を一体で請け負うリノベーション会社にお願いするパターン
など、いくつかの進め方がある。
どちらが良い悪いではなく、自分たちの希望や進め方が合うパートナーを見つけることが大切だ。
リノベをお願いするパートナー選びにおいて大事だと考えるポイントをなんとか4つに絞ってみた。
一個人の実体験として、ぜひ参考にして欲しい。
① 得意領域と提案力をみる
私たちは6社ほどに問い合わせ、そのうち3社から具体的な提案や見積もりをいただいた。
排水管などの設備に強い会社、ヴィンテージデザインを得意とする会社、戸建ての実績が豊富な会社、オフィス空間やカフェまで手がける会社など、本当にさまざまだった。
フロッグハウスさんは、明石生まれの2名体制という地域密着型。
団地や築古物件の再生に強く、「海沿い明石の築古物件で快適に暮らす」ための提案にも強かった。
複数問い合わせた中で、フロッグハウスさんは唯一初回の提案が有料(10万円)だった。
前編に執筆した通り、急遽の初回内見へ同行いただいたり、それ以外にも、図面・規約の調査を通して専門的な視点でアドバイスを何度もいただいた。
その中で感じた信頼感や素敵な人柄も相まって、一旦区切りとして謝礼という意味でもお支払いすることを夫婦で決めた。
その結果、提案料が発生したフロッグハウスさんが最も本気で向き合い熟考してくれたため、他社よりも提案の質が圧倒的に高かった。
間取りの提案も希望したため、考えうるパターンを4つも提示いただき、一気に具体的なイメージが膨みワクワクしたことを覚えている。
10万円は安くはない金額だが、初期段階で検討可能な間取りを把握できるため、広いスペースをフルリノベーションする場合は非常に価値があると感じた。
提案力に加え、打ち合わせにおいても、こちら側の希望を上手く汲み取りながら良い方法を提案いただける柔らかなコミュニケーションやスタンスにも魅力を感じ、フロッグハウスさんにお願いすることに決めた。
地域密着で”明石海沿い暮らし”ならではの注意ポイントも熟知されているため、例えば強風の日にドアが勢い良く閉まらないようストッパーを取り付けるなど、見落としがちな細部にまで気を配った家づくりを実現してくれた。
② 床や天井・配管・断熱―暮らしを支える裏側の整備
引っ越したいというよりリノベしたい」という浮かれ気味の私たちは見た目の装いばかりに意識が向いていたが、実際にはまず基礎の整備が何より重要だ。
フロッグハウスさんからは他社が手薄だった以下について提案いただき、見積もりにもしっかりと反映されていた。
・床の歪みを整える二重床
・天井のかさ上げ
・配管の総入れ替え
・断熱と二重サッシの導入
二重サッシは「本当に全窓に導入が必要なのか?」と当初迷ったものの、四季を通して暮らしてみるとその大切さを痛感した。
遮音性や冷暖房の効きやすさから、友人にもおすすめしたくなるほど絶大な効果を発揮しているのだ。
以前の家では海風や漁船の音が聞こえる日も多々あったが、二重サッシがあると非常に静かで落ち着く。
お昼寝中の娘もすやすやポカポカと気持ちが良さそうだ。
ご提案いただいた会社によっては表面上の装いに予算の多くが配分されており、見えない部分をしっかりとフォローできていない提案もあった。
専門知識が必要な領域こそ、プロからの提案が無ければ検討段階で必要性に気付けず、暮らし始めてから床の歪みや風の音に悩まされていたかもしれない、と思うと恐ろしい。
後から床や天井を変えたいと言っても一番最初に工事する基盤部分なので手遅れだ。
フルリノベーションは理想を全て叶えると確実に予算オーバーとなるため、「優先順位をつけてプラスアルファの要素は削る」という意思決定も必要だが、基礎の整備に関しては節約せず網羅しておくと安心だ。
「こんなはずじゃ…」と後悔しないよう、見えない部分への整備も考慮されているか?見積もりにどこまで反映されているか?をよく確認し、信頼できるパートナーを選んで欲しい。
③ スピーディー or じっくりカスタマイズ?小さい工務店の強みと弱み
フロッグハウスさんは2名体制のため、打ち合わせから施工まで窓口は笹倉さんが一貫して担当してくれた。
大きなリノベーション会社は、フロント(顧客窓口・進行管理)、デザイン、設備面などそれぞれの専門家が集まりチームを作るケースもあったが、担当が分かれているため質問への回答まで時間がかかるケースも多かった。
しかしフロッグハウスさんの場合は、2名という少数にも関わらず築年数の古い物件をリノベーションしてきた豊富な実績を持っているため、「大抵のことは笹倉さんに聞けば解決する」という安心感があり、コミュニケーション上のストレスが無かった。
一方で小さな工務店は提携している職人さんの数が限られるため、職人さんの工程が空くまで1ヶ月ほど待った。
ある程度決まった型をベースに良い感じの家を短期間で作って欲しいという方には、大きいリノベーション会社がマッチするだろう。
私たちのようにじっくりと決めていく過程も楽しみたい方の場合は、唯一無二の家が完成するまで寄り添って対応してくれる小さな工務店がおすすめだ。
工事中の現場へは頻繁に顔を出したが、毎回大工の宮本さんが丁寧に作業をしてくれていた。
出産を控えていた私に椅子やうちわをすぐに持ってきてくれる優しさに毎回癒された。
お風呂でくつろぐ妄想中の夫にも宮本さんはちゃんと突っ込んでくれる。
私たちのプチDIYごっこにも嫌な顔せず付き合ってくれる優しいチームの皆さんに毎回会えるのが楽しみだった。
解体工事をして初めて分かる予期せぬ事態(配管が逆勾配になっていたり隠れていた梁の出現)もあったが、都度最適解を考え柔軟に対応してくれた。
例えば洗面所に思わぬ梁が出現し、予定していた三面鏡がサイズ的に入らないことが判明。
しかし臨機応変に造作へ切り替え、「できる限り大きい鏡にしたい」という我々の希望を汲み、内側の収納スペースと表面の鏡部分の大きさを変える細かな調整を施してくれた。
鏡を使うごとにフロッグハウスさんや宮本さんが急な変更にも柔軟に対応してくれたことを思い出す。
また、キッチン横の壁にできた配管スペースを工夫して収納スペースの設置を提案いただいた。
当初全くこのような棚は考えてもおらずお願いしていなかったが、使用頻度の高い調味料を複数並べることができ、暮らし始めてからその便利さを実感している。
工事が進む中でも状況に応じて親身に寄り添ってくれるスタンスと柔軟さは、小さな工務店ならではの魅力だと思う。
産前産後の時期はゆっくりとキッチンタイルを選んだりと最終の仕上げ部分を詰めていった。
笹倉さんとは大阪のショールームも一緒に回り、どんなキッチンが良いか?イメージを膨らませた。
キッチンにはタイルを付けたかったがなかなか決めきれず、大阪の名古屋モザイクのタイルを一緒に見て回った。
「このタイルおしゃれやなーー。わ、値段がエル◯スすぎて2段しか貼られへん」などと笑いながら一緒に悩んだ時間も良い思い出だ。
最終的には笹倉さんのおかげで質も値段も満足いくタイルに出会えた。
フロッグハウスさんや宮本さんとは頻繁に顔を合わせていたため娘の誕生も心底喜んでくれ、もはや親族並みの親密具合となった。
職人さんも含めて近い距離感になれるのは少数精鋭チームならではのメリットだ。
④ 最終的には"誰にお願いしたいか?"で決めるべき
リノベーションは、数ヶ月にわたる長期の共同作業のため、最後は「人」で選ぶのが良いと思う。
どの会社も親切な方が多かったが、住居ということもあり少しでも頼りなさを感じると不安になる。
また、こちらの希望よりも会社の推奨商品やおすすめの型をプッシュされていると感じるケースもあった。
コミュニケーションのしやすさも含め、提案段階で少しでもやりづらさや違和感を感じた場合は完成まで長いので慎重に判断した方が良い。
フロッグハウスさんは前述の通り、初対面の時から一貫して信頼でき、私たちのふわっとした理想のイメージを形にできるよう徹底的に伴走してくれた。
また、笹倉さんがおすすめしてくれる素材や色を私たちも素敵だと感じる感覚の方向性が近かったことも大きかった。
そして初回のオンライン打ち合わせで判明したのだが、なんと担当してくれた笹倉さんは当時住んでいた家の真隣に住むお隣さんだったのだ。
分かった時は「東京から移住してきました!と私たちが菓子折りを持ってピンポンしたあの方ご本人ってことですか???」と驚き動揺したが、これはもう強いご縁に引き寄せられているとしか思えない。
毎回の打ち合わせはどちらかの家に集まり、まるで文化祭の準備のようで本当に楽しかった。
フルリノベーションされたおしゃれな笹倉邸に足を踏み入れる度に「自分たちの家と同じ間取りなのが嘘みたい…」と素敵な空間にテンションが上がった。
洗面台の幅を測らせていただいたり、同日に昼と夜2度もお邪魔してダウンライトの明るさや必要個数を考えたり、ピンポンを押して「お邪魔します!」と言った回数はもはや覚えていない。
笹倉邸の床が素敵だったため、土間のパーケットフロアへ同じ素材を取り入れた。
フロッグハウスさんのモデルルームを徒歩2秒で内覧できる特別な環境に感謝だ。
直接会わない日も「床の候補素材を3種類、置き配しておきました!」「ありがとうございます!1週間踏んでみます!」など日々やり取りしたあの頃が懐かしい。
引っ越し当日はマンション下の引っ越しセンターの車を見て、笹倉さんから「家が完成して嬉しいのに、お隣の部屋からいなくなってしまう寂しさで、過去一複雑な心境です」というメッセージをいただいた。
私も全く同じ気持ちだった。
夜な夜な家に集まり、生まれたての娘に「どっちの色が良い?」と選ばせながら打ち合わせをした、あの青春(?)の日々は一生忘れないだろう。
引っ越してしばらくしてからフロッグハウス清水さん・笹倉さん、そして職人の宮本さんを招いて大宴会を開いた。
家づくりを進める中で、何度も話し合い、悩み、笑い、ハプニングも含めて全てが色濃い思い出となっている。
盛り上がらないはずがない。
宴会でも上下関係なくツッコミを入れ合う最高のチームプレーを見て、 「この方々にお願いできて本当に良かった」と改めて思った。
「家が完成するまでは見届けられても、その後の話を聞ける機会はない。こんな風に招いてもらえるのは理想形」と宮本さんの口から聞けて心がじんわりと温かくなった。
これからもこの家と娘の成長を変わらず近くで見守っていただきたい。
そんな風に思える方々にお願いできて本当に良かった。
本記事を読んでくださっている方の中でリノベーション検討中の方がいらっしゃれば、どうか素敵なパートナーと出会えるよう祈っている。
最後に
大変長くなりましたが、私の実体験はお楽しみいただけましたでしょうか?
「本当に好きなように書いてください!」とフロッグハウスさんにおっしゃっていただき、つい明石に移住した数年前から振り返ってしまいました。
ご縁と勢いで東京から明石へ移住し、「リノベしたい」という軽いノリのつもりが気付けば10年間空き家だった物件を購入。
そして、まさかのお隣さん・笹倉さんが担当してくださるというミラクルもあり、フロッグハウスさんや宮本さんといった“明石原住民”の皆さんに素敵なお家を作ってもらうことができました。
移住や家づくりを通し、一つひとつの決断と人との出会いが「人生をより豊かにしてくれる」ことを今まさに実感しています。
今後も明石という場所で、この家と人々の温かさに包まれながら幸せに暮らしたいです。
そして、今後もしライフスタイルに合わせて家をカスタマイズしたくなった時には、迷わずフロッグハウスさんにお願いすることでしょう。
▶︎施工事例写真




































