【インタビュー】どうも、明石移住者です。原住民の方に家を作ってもらいました。(中編)
Writer:Y.U(施主本人)
果たして購入した築古物件が、どんな風に生まれ変わったのか。
今日はその全貌を、惜しみなくお見せしたい。
これからリノベーションを検討している方にもぜひ一例としてご覧いただきたい。
前編をまだご覧になっていない方は、まずはこちらからどうぞ。
→ https://froghouse.top/archives/16439
フルスケルトンからの家づくり
完成までのストーリーを語ると長くなってしまうので、
まず取り壊された家がどんな空間に生まれ変わったのかをお見せしたい。
一つひとつに思い入れがあるが、特にこだわったポイントをなんとか4つに絞ってみた。
① 光と人が集まる、瀬戸内リビング
間取りは複数パターンで悩んだが、光が差し込む明るいリビングにしたかったため「2面採光」で余白を贅沢に残す設計を選んだ。
キッチンに立つと、家族の笑顔とともに瀬戸内海、明石海峡大橋、淡路島までが一望できる。
この景色を見るたびに「この家を作ってよかった」としみじみ思う。
反対にリビングからキッチン側を見ても「なんて良いキッチンビューなんだろう」と夫婦で度々盛り上がる。
寒い日でも日が差し込めば、木の温もりも相まってポカポカと日向ぼっこが捗る。
私のお気に入りは朝時間だ。
少しずつ太陽が空高く登るにつれやわらかな光がダイニングまで伸び、キッチンの天板や木の質感を優しく照らしてくれる。
最後まで悩んだ末に決めた深いグリーンのタイルが輝く朝の光景は、これから始まる1日をそっと後押ししてくれる。
この広いリビングルームには多くの友人や子供達が集まっても窮屈さを感じない。
年末の集まりや、定期的に開催している先生と友人との朝ヨガなど、 “人が集う場所”としてこの空間が活躍している。
夫の友人たちは毎年年末にプレゼン大会を開催する謎の恒例行事がある。
毎年東京で開催していたが、気付けば3世帯が明石に移住したためここ2年間は明石開催となった。(明石出身者は1人もいない)
昨年は我が家で開催したが、広いリビングのおかげで大人数でもなんとか収まった。
また、明石生活で出会ったヨガの先生には定期的に自宅へ来てもらい、夫や友人と共に朝ヨガをしている。
好きな空間でヨガを楽しめるとはなんとも豊かな時間だ。
② 海を眺めて働く、4つのワークスペース
夫婦ともにリモートワークの日も多いため、家の中には4つの仕事スペースを設けた。
仕事に煮詰まった時は、席を移り海を眺めて深呼吸と伸び。それだけで頭がリセットされる。
寝室には室内窓を造作してもらうことで光を取り込んだ。
テーブルとして使用している一枚板は義父から譲り受けた大切な思い出の品だ。
愛着を込めて夫婦でプチDIY体験をさせてもらいながら完成した。
椅子に座った状態から室内窓越しに海が望めるよう窓の位置を何度も検討した。
義父も現場に来て相談しながら決めていった過程が思い出に残っている。
ベランダ側のワークスペースは、日差しや海面のきらめきが控えめな曇天日に使用している。
晴天だと海がきらきらと輝きすぎて仕事ができない、というこの上ない幸せな悩みだ。
終日在宅ワークで引きこもる日も、この家ならリフレッシュしながら仕事に集中できる。
前編に書いた東京での“洗面所ワーク”時代からの激変っぷりに思わず笑ってしまう。
③ 帰るたびに心ほどける、我が家の土間
玄関は少し歪な形を逆手に取り、思い切って広い土間スペースに。
「広い土間がある家に住みたい」と引っ越し前から夫の土間熱が非常に高かったので、玄関はほとんど夫にお任せしたところ、大迫力の土間が完成した。
この物件ならではの巨大な極太の梁はあえて剥き出しに。
昔の大工さんの手仕事をそのまま残した。
帰宅時に扉を開ける度にほっこりと落ち着いた気分になり、友人を招いた時は大抵「おぉ〜!」とお手本のような反応をしてもらえる。
娘がハイハイで辿り着けない唯一のエリアのため、季節のお花を飾ったりと大人だけの秘密基地的スペースだ。
パーケットフロアはフロッグハウスさんに教えてもらいながら夫婦で塗装した。
素足で踏むと木の温かみを感じる。
お借りしたサンプルを何度も踏み比べて選んだ素材だ。
このパーケットフロアを見ると、まだほにゃほにゃだった娘を抱っこして現場へ通ったあの頃を思い出す。
建築士である義父のアドバイスで取り入れたRのカーブは空間にやわらかさを添えてくれる。
文章を書きながら、土間だけでもこんな思い出に溢れているのだと再認識できた。
このなんとも表現しがたい充足感・幸福感こそ、間違いなくフルリノベーションの醍醐味である。
④ 共働きの暮らしを整える、小さなリノベ術
こだわりの空間をメインにお伝えしてきたが、仕事と育児を両立する中で家事負担を最小限にする機能面も重要だ。
友人宅を参考にしたり、フロッグハウスさんにご提案をいただきながら、動線、収納や設備面にも工夫を凝らした。
まず、洗面所にランドリースペースを作り、洗濯物を仕分けて収納できるようにした。
夫婦ともに「洗濯物をきっちり畳んで寝室にあるタンスへ収納すること」は絶対に無理だと分かっていたため、このようなスペースは必須で欲しいと初回の打ち合わせから伝えていた。
また、快適な暮らしを支えるのがキッチン裏のパントリーだ。
賃貸時代は調理器具の置き場に困っていたが、今はすっきり収まり見た目も快適。
パントリーや洗面所の入り口はあえて建具を付けず、アーチやリネンカーテンでやわらかく仕上げている。
パントリーの壁紙は当初ネイビーを検討していたが、最終的に薄いブルーグレーを採用。
現場では「ネイビーが可愛い」と盛り上がったが、濃すぎる色だとあまりにトンネル感が強く出そうだと数時間後に冷静になった。
空間全体をイメージしながら壁紙のカラーを検討する工程は、難しくも楽しい体験だった。
そんな思い出のアーチはキッチンビューにも良い具合に馴染んでいる。
このように10年以上空き家だった築古物件は、フロッグハウスさんや大工さんの手によって蘇り、今では多くの人が集う、あたたかな居場所へと生まれ変わった。
娘の成長と共に出来上がっていったマイホームには愛着が詰め込まれ、選んだ素材や形の一つひとつに思い出が宿る。
いつの日かこの記事を読んだ娘の反応が楽しみだ。
完成した家を詳しくご紹介してきたが、続いて最後の後編では「私たちがどのようにリノベーションをお願いするパートナーを決めたのか?」をお届けしたい。
人生で最も大きな買い物を失敗しないために、必要だと考える4つのポイントを実体験を元に解説していく。
もうしばしお付き合いいただけると大変嬉しい。
▶︎インタビュー後編|リノベーションを依頼するパートナー選びの極意
▶︎施工事例写真

































