【インタビュー】どうも、明石移住者です。原住民の方に家を作ってもらいました。(前編)
Writer:Y.U(施主本人)
これまでフロッグハウスの記事では、施主の方々へのインタビューを通してさまざまなリノベーションのスタイルを紹介してきました。
今回は少し趣向を変えて、施主ご本人にフルリノベーションを体験した日々を赤裸々に綴っていただきました。
生の声をどうぞお楽しみください。
初めまして、東京から明石に移住してきた施主です。
本編に入る前に少し自己紹介させてください。
現在30代前半、愉快な夫と1歳の娘と私の3人家族で暮らしています。
私は親が転勤族だったため大阪と千葉を行き来しており、いわゆる「地元」と呼べる場所はありませんでした。
両親は関東で賃貸暮らしをしており、「私も一生関東で賃貸暮らしかな」となんとなく思っていました。
そんな私がなぜ兵庫県の明石へ移住し、10年以上空き家だった築古物件を購入し、フルリノベーションに至ったのか?そしてそこで手に入れた暮らしとは?
今回の記事は、
明石との出会いからフルリノベーションを決意するまでを綴った前編、
完成した家をまるっと公開している中編、
そして実体験をもとにリノベーション会社の選び方をまとめた後編の、全3部構成でお届けしています。
リアルな体験を包み隠さず綴った3本です。
リノベーションを検討している方はもちろん、
今は予定がない方も「こんな人もいるんだな」と気軽に楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。
▼前編|明石移住・物件との出会い
https://froghouse.top/archives/16439
▼中編|完成した家を大公開!
https://froghouse.top/archives/16538
▼後編|リノベーションを依頼するパートナー選びの極意
https://froghouse.top/archives/16629
フロッグハウスさんからは「施主目線で忖度なくありのまま書いてください」とおっしゃっていただいたので、本当にそのまま本心でお届けします。
長くなってしまいましたが、どうぞ最後までお付き合いください。
◼︎DATA:
住所:兵庫県明石市
スタイル:マンションリノベーション(94.57㎡、築42年)
費用:リノベーション費1240万円
フロッグハウス担当者:笹倉みなみ
東京を出たい、でも勇気もきっかけも無かった
東京の大学を出て、東京の会社に就職。素敵な友人にも恵まれた。
東京での暮らしは賑やかで楽しかったけれど、ふと「ずっとここで暮らすのか?」と思う瞬間もあった。
地方移住サービスに登録したこともあるが、今まで積み上げてきたことを投げ出してまで移住する勇気ときっかけも無く、Instagramで「#移住」をフォローし眺めては「老後は家の前で釣りしながら暮らせたらいいな」なんて夢想する日々。
東京時代、家=寝るための場所だと思っていたため、勤務地に近い立地を最重視して選んでいた。
しかし突然の新型コロナウイルス到来によりリモートワークを余儀なくされた。
当時付き合い始めた現夫からキャンプテーブルやイスを借り、なんとか即席リモートワークスペースを作ったが、2人でいる時にオンライン会議がかぶるとどちらかが洗面所へ閉じこもり、夏は汗だく、冬は凍えながら仕事をしていた。
外出を控えながらも自然が好きな私たちは狭いベランダに無理やりテーブルを出してご飯を食べたりもしたが、目の前には高速道路やマンションが立ち並び、開放感はゼロ。
「高い家賃を払ってなぜここで暮らしているんだろう?」という疑問を抱えながらも日々を過ごしていた。
明石ってどこだっけ?からの大逆転
そんなある日。大阪出張に行っていた現夫から一本の電話。
「明石、ほんまにやばい。明日リモートで内見参加できる?」
――ん?明石ってどこ?内見?てか大阪出張って言ってへんかったっけ?
どうやら昔からの友人夫婦が明石に移住したことを思い出し、大阪出張ついでに会いに行きアテンドしてもらった明石に魅了されたようだ。
翌日、促されるがままにリモート内見に参加したが「テンションの上がった夫が何か言っているぞ」程度にしか考えていなかったため私の熱量は低め。
そのまま2週間が経過した頃、「新幹線代出すから一回だけ明石に一緒に来て欲しい」と真剣モードの夫に懇願され「一回行ってみるか」と重い腰を上げた。
これが、私の人生を変える旅の始まりだった。
明石アベンジャーズとの出会い
私の明石初訪問日、夫は午前中に仕事があったため1人で明石に降り立った。
東京からは新幹線で意外とスイーッと行くことができた。
到着してまず驚いた。意外と都会である。
そして駅近くの商店街も非常に活気がある。
少し歩くと目の前には穏やかで壮大な瀬戸内海が広がっていた。
リュックに父おさがりの折りたたみ竿を忍ばせていた私は、釣り餌を買って糸を垂らした。
岩の間に糸を垂らすたびに「ピクピクっ」とわりと強めな反応が。
何度も餌を取られるばかりだったが、「間違いなく私の足元に魚がいる」という事実がアドレナリンを大放出させた。
女1人で餌釣りをしている物珍しさからか地元のおじさんがおじさんを呼び、あれよあれよと7名ほど集結。
「あっちに投げた方が釣れるで」
「この仕掛けあげるわ」
「この間、40cmのベラを釣ってな」
と皆さんよく喋る気さくな人たちだった。
勝手に「明石アベンジャーズ」と呼ばせていただくことにした。
明石の海を知り尽くしたアベンジャーズに言われた通りに投げると、なんと一発で立派なベラが釣れた。
東京時代は前もって「釣りに行くぞ!」と意気込み、早朝起床・始発で神奈川や千葉へ向かい、酔い止めを飲んで船釣りし、ヘトヘトで帰宅してから魚をさばき、食べる頃には深夜。
趣味とはいえハードだった。
そんな私にとって、岸からポイと投げてこんな簡単に魚って釣れるの?と自分の中での当たり前が覆った瞬間だった。
「保冷剤、持ってきたで。冷やして持って帰り!」
そんな明石アベンジャーズの温かさとキャラの濃さに触れている間に「私、ここで生きていく!」と直感した。
合流した夫は、あまりに多いおっちゃんの数と明石に魅了された私に驚いていた。
そして、その日に内見した賃貸物件に即申し込み。
そんなこんなで急遽お試し移住が決まった。
明石が好きすぎてなぜか延泊すると言う夫に別れを告げ、
翌日の仕事のために釣った魚を明石アベンジャーズの保冷剤で冷やしながら東京へ戻った。
深夜に釣った魚の煮付けを食べながら、人生が大きく動く予感がしてドキドキと胸が高鳴っていたことを今でも鮮明に覚えている。
散歩・釣り・美味しいお店、QOL爆上がりライフ
ご縁と勢いでお試し移住したが、想像以上に幸せな暮らしが待っていた。
賃貸で住み始めた家はオーシャンビューど真ん中でベランダからの景色には毎日懲りずに感動していた。
海岸を散歩しながら美味しいコーヒー屋・パン屋・神社を巡り、季節ごとに異なる海の様子を観察することから1日は始まる。
朝の大蔵海岸は老若男女、散歩中のワンちゃんまで皆幸せそうな表情でなんとも言えない幸福感に包まれている。
寒い冬が明けると小魚たちが元気に海を駆け回り、春の到来を教えてくれる。
夏になるとアオリイカの赤ちゃんたちがクリオネのようにフワフワと舞う。
家の前でポイと投げると美味しいアオリイカが釣れる、そんな世界線があるなんて。
秋は釣りたてのカワハギの刺身と肝醤油が悶絶級に美味しい。
(釣り好きではない夫も流石にカワハギは絶品すぎて釣り参加率が高い)
釣ったからには命に感謝して、明石の海の恵みをしっかりと味わいたい。
カワハギの薄皮も捨てずに湯引きしていただく。
自然が真横にあると毎日がリフレッシュできるので仕事にも集中できる。
仕事後は夜風に当たりながら「龍の湯」へ行ってサウナや漫画を楽しむのも良し、ワクワク感が癖になる夜釣りに行くのも良し。
小一時間トライして反応が無ければ切り上げて明日またやれば良いので気楽だ。
休日には少し自転車を走らせるとバーベキューができる林崎松江海岸もある。
こんなに素晴らしい場所なのに人が少なく場所取り合戦は皆無。
朝起きて天気が良ければ気分に合わせてデイキャンプへふらっと出かける、そのゆるさが心地良い。
そして明石には新鮮な海鮮や美味しいお店もたくさんある。
量も多いのに安価な値付けのお店が多く、移住してから確実に舌が肥えた。
気付けば離れられなくなっていた
そんな明石の自然や環境を満喫しながら暮らしていたが、移住当初友人はほとんどいなかった。
しかし夫が持ち前のコミュニケーション力(本人は人見知りだと言うが絶対に違う)を活かし、友人がご近所にどんどんと増えていった。
明石での新しい出会いにも恵まれ、大人になってからこんなに友達が増えることに驚きつつ幸せを感じた。
そして夫の昔からの友人ファミリーが気付けばご近所に4世帯も住んでいるという異常な集結具合。
「いや、移住ってそんなするもんなん?」と自分のことは棚に上げて驚きである。
初対面の人とも「明石ってほんまに奇跡の街やんな」という圧倒的な共通認識があるため打ち解けやすく、一緒にいて居心地が良い人たちばかりだ。
外を歩くと高確率で友人知人に遭遇し、ちょっと井戸端会議をする。
飲食店の方も何度か行くとすぐに顔を覚えてくれる。
気付けば明石は私にとって単なる場所ではなく、初めて「これが地元ってやつか」と感じるくらいの心地良い居場所になっていた。
移住したことを知り旅行がてら足を運んでくれる人がいたり、東京出張に合わせて関東の友人や両親とは意識的に会うようにもなり、遠方の人との繋がりも結果的に強くなったことも嬉しかった。
突然目の前に現れた10年以上空き家だった物件
そんな明石に魅せられた私たちだったが、周囲の友人たちが物件を購入してフルリノベーションをしている姿を見て、「自分たちが好きな空間で暮らしたい」という小さな欲求がふつふつと芽生え始めた。
不動産屋さんには恐縮しながらも、ゆるく物件探しを始めた。
今思うと割と癖強めな要望を伝えており、活字にすると恥ずかしい。
・引っ越ししたいわけではなくフルリノベがしたいため、リフォームされてない古い物件希望(いつまでと期限が決まっていないが情報は欲しがる嫌な客)
・賃貸で暮らしていた家がTHEオーシャンビューだったため、リビングから海と明石海峡大橋が見えないと無理(わがまますぎる)
・95平米ほどの広さだと理想(そんな物件ほぼ無い)
・明石駅周辺の飲食店や公園にすぐ行ける距離だと嬉しい(もはやうるさい)
いくつか案内してもらったが、売り出すために表面上綺麗にされている物件には「リフォームされちゃってますがもっとボロボロが良いです」と綺麗なことに難色を示す癖夫婦。
海が少し見える部屋だとしても「もっと、バーーーーンと見たいんですよね・・」とテンションが上がらない。
ハードルが上がりすぎていると自覚しつつ、賃貸で住んでいる部屋からの景色が素晴らしすぎてつい比べてしまう。
明石駅周辺にマンションはいくつかあるが、70~75平米の部屋が多く95平米ほどの広さを求めると物件は無かった。
月日が経過していったがある日「理想の物件が出ました!明後日に内見できますが、配管や設備に詳しいリフォーム会社の方も連れてきていただけると良さそうです!」と不動産屋さんから興奮気味に連絡があった。
よくぞ私たちのことを思い出してくれたものだ。
非常に急展開だったが、友人がフロッグハウスさんのことを教えてくれ、リノベーションを依頼するかも分からない状況だったが内見に立ち合ってくれることとなった。
その友人はフロッグハウスさんのことを明石駅近くのおしゃれなコーヒー屋さんに置いてあるパンフレットで知ったようだ。
そしてついに条件を全て叶える物件に出会ってしまうのだ。
10年以上空き家だったため床は歪み、配管からは水漏れを起こしているフルリノベーション必須物件だった。
どこまで大改造できそうか設備や配管について同行してくださったフロッグハウスの清水さんに伺いながら内見でき、非常に心強かった。
フルリノベーション経験も知識も無かった私は、まずどのようなポイントを確認すべきか?すら分かっていなかった。
しかし清水さんが現場で「管理規約」や「竣工図」から、水廻りの位置変更が可能か(キッチンの場所を大幅に動かせるか)など細かな点まで確認しながら説明してくれた。
窓からは瀬戸内海と明石海峡大橋を一望でき、広さも十分の物件のため、即購入!と言いたいところだったが、人生初の大きな買い物のため夫婦でよく話し合った。
明石は近年、私たちのような移住者や、子育て支援に魅力を感じた近郊都市のファミリー世帯が流れ込み、”明石バブル”状態で物件価格も強気だ。
そのため以下のようなことを何度も繰り返し考えた。
・物件購入+フルリノベーションした際の支払い vs 賃貸を継続した際の比較
・リノベ欲の高まりで購入を検討しているが、本当に今後明石に永住するのか
・築古物件のリスクや移住時にもチェックしたもののハザードマップは問題ないか
何度か物件に足を運び数ヶ月ほど悩んだ末、ついに購入を決断した。
明石には最高の環境と、自分たちの人生に欠かせない大好きな人たちもいる。
何より自分たちで決めた道を一緒に楽しめる最高のパートナーもいる。
慎重派な性格の私だが、時には「えいや!」と行動することが人生をより楽しい方向へ導いてくれることを移住体験が教えてくれた。
そんな実体験もあり、最後はご縁と勢いで物件の購入も決めた。
ここまで長くなってしまったが私たちが移住し、築古物件の購入を決意するまでをお届けした。
果たしてフルリノベーションした結果、どんな家が完成し、暮らしはどう変わったのか?
そして「どんなポイントを見てリノベーションをお願いする会社を決めるべきか?」も包み隠さず後編で全公開している。
特に今後リノベーションを検討している方にはぜひご覧いただきたい。
▶︎インタビュー後編|リノベーションを依頼するパートナー選びの極意
▶︎施工事例写真































