【イベント報告】 住まいの断熱で健康なくらしを考えるシンポジウム 

2024年7月4日はイベントでお話をさせて頂きました!

代表清水の報告ブログです。

まずは神戸市長からご挨拶。

住宅の断熱性を高めて行く意義、また住宅の寿命と空き家問題についてのお話がありました。

国も様々な補助金を用意しているので、神戸市としてもこれらを活用して断熱性を進めて行って欲しいという事でした。

平日の昼間の開催でそんなに来るのかな?と思っていましたが、来場者は高齢者を中心に240人だったそうです。

続いて、神戸市建築住宅局政策課の松添さんから情報提供で空き家などについてのお話もありました。

今回の主催は神戸市で、開催場所は垂水区だったのですが・・

垂水区は須磨区に次いで団地型物件も多いそうで、神戸市も人口減少に伴う空家問題について危機感を持っておられる事を感じました。

続きまして、フォワードハウジングソリューションズ株式会社の代表の井上さんから「住まいの断熱リノベのススメ」についてご講演がありました。

井上さんの本業は省エネ設計等のサポートを行う設計事務所の代表で、建築業者向けに高性能住宅のノウハウを提供されています。

フロッグハウスも、何度もお話を伺ったり、井上さんが改修した断熱住宅の見学にお伺いさせて頂いたりしています。

今回のお話の中でもあったのですが、「国際的基準に比べても低い日本の断熱性能」という問題があります。

日本でも2022年に「断熱等級5」「断熱等級6」「断熱等級7」という上位等級が設定されました。

(今までは断熱等級4が最高位だった)

この「断熱等級4」という数値自体も国際的基準から見れば全然低く、日本はこれに追い付くべく2025年に「断熱等級4」、20230年に「断熱等級5」が新築では義務化予定だそうです。

また、電気代・光熱費の支払いのシュミレーションを元に、「家の断熱にお金をかけるか?住み出してから電力会社に払うか?」というのを目に見えるカタチで説明されていました。

断熱工事は近年の「光熱費の高騰リスク」に備えるという意味合いもあるという事でした。

フロッグハウスも、このうように「電気代・数値の見える化」して施主さんに説明していければと改めて思いました。

 

続きまして、「寒い家・暑い家は健康寿命を縮める」という内容で一般社団法人神戸市垂水区医師会 会長の久保清景さんからのお話しです。

久保さんのお話は初めてお聞きしたのですが近年、住まいの「温度」と健康に関する関連性が、続々と発表されているそうです。

まずは「ヒートショック」ですが、交通事故での年間の死者数は4000人まで下がってるのに対して、浴室での死亡事故は年間19000人となっているそうです。

これらは寒い県でも断熱性能の高い北海道は少なく、暖かい県でも断熱性能が低く住宅内の温度差が大きい県の方が事故数の多い傾向にあるそうです。

(兵庫県は香川県に次いで全国2位)

これらのリスクは皆さん、一度は聞かれた事はあるかとは思うのですが・・

近年の研究や論文によって寒い家と暖かい家では「血圧」「脂質」「心電図異常」「夜間頻尿(過活動膀胱)」「睡眠障害」「身体活動」の数値も明らかに変わる事が明らかになっているそうです。

例えば血圧で言いますと、室温20℃から10℃室温が下がると10mmHg上がるそうです。

また、これらは断熱改修すれば住み出した直後から血圧などの数値は改善されるそうです。

今回の公演で、特に印象に残ったのはお医者さんの口から「暑い家、寒い家は不調を来たす。断熱リフォームは間接的・直接的に健康寿命に貢献するのは紛れもない事実」とハッキリ仰られた事です。

また、「医師の立場から言えば切実な問題」として、病気になった時の医療費・介護費・リハビリ費用の具体的な金額の掲示もありました。

「断熱にかける費用と、一旦病気になった時に支払う費用とどちらにお金をかける方が良いか?という事も問題提供したい」との事でした。

 

10分間の休憩を挟んで、いよいよフロッグハウスの順番です。

タイトルは「断熱リノベで毎日が快適に」。

(緊張で肩が上がっていて「清水さん、首が無くなってますよ」っと笹倉からツッコミを受ける。)

 

今回は2022年に垂水区の団地リノベを行った今井さんご夫妻とクロストーク形式で展開。

フロッグハウスの会社紹介の後は、今井さんご夫妻が団地購入に至った経緯からお話をスタートさせて頂いたのですが・・

「団地を300万円で買いました」というくだりの時にどよめく会場。

「それは、安いという反応ですか?」と思わず聞き返す清水。

垂水区の団地の高層階ではこの辺の価格帯はザラなので・・世間の認識とのギャップをリアルに感じました。

今井さんはリノベ後の暮らしの様子をInstagramで発信されておりまして、そちらを交えて住み心地をお聞きしました。

2023年1月22日 最低気温2℃ この日は大雪で神戸でも交通機関が麻痺したりましたのですが・・

午前6時52分の室温は17.8℃。これは全く暖房を使わないで起床時の気温です。

外の雪だるまも中々解けないような日で、お家で断熱工事の効果を体験いただいたそうです。

 

続きまして断熱箇所の説明です。

赤の線が断熱工事を行った箇所です。(青の四角が内窓を設置した箇所)

断熱性能だけで考えれば、ぐるりと家を断熱材で囲った方が良いのですが・・

費用対効果を考えて、「外気に面しているところ」だけを施工しました。それ以外の場所や天井・床は隣戸があるので熱損失が少ないので施工していません。

(熱僑と言いまして、教科書通りで行くと折り返して断熱材も貼っておいた方が良いのですが・・これも同じように費用対効果を優先しました)

今回の断熱工事は壁は50万円弱。 窓は30万円弱。(2022年当時)

今だと材料代や定価も上がってるのですが、その分補助金も上がっていまして20−27万円くらい貰えます。

補足しますと、今回の今井さんはリノベ検討当初は「ワンルームで夫婦2人でコンパクトに暮らしたい」という方が優先でした。

断熱工事はあくまでも「どうせリノベするなら、オススメされたしついでにやって貰おうか」くらいの感じだったそうです。

 

結果は絶大で、冬でも暖かく満足頂いてるそうです。

近年、フロッグハウスでも電気代の高騰やSDGsを意識された施主さんから断熱工事をご依頼頂くことが多くなりました。

リノベ後のお話をお伺いすると、断熱工事は「思っていた以上に良い」と言ってくださいます。

また逆に断熱工事を行なっていないお家は壁の結露等で5年後にお伺いした時はクロスに浮きが生じていたり・・

残念な事になっているケースを散見しました。

「急に高い工事を勧めようとと思われないかな?」っと最初はお勧めを躊躇した事もありますが、今は自信を持ってオススメしています。

「高い」という概念も、井上先生の「光熱費のシュミレーション・今後の高騰リスク」や、久保先生の「健康への対価」を考えるとむしろここはやっぱり、「絶対やっておいた方が良い」と今回のセミナーを通じて改めて思うようになりました。

「断熱工事」はリノベーションにおいて、選択肢の一部ではあるかと思いますし、間取りやテイスト、暮らし方を自分で選択出来るオモシロさは何物にも変え難いと思います。

フロッグハウスは断熱性能だけで勝負する「ポカポカ推奨工務店」を目指してる訳でもありません。

でも、やっぱり住み出したら「暑い 寒い」は大事ですし、「カビや結露はない方が良い」に決まってますし、「健康あっての暮らし」ではないかと、今回のセミナーを通じて改めて思うに至りました。

(「病気になれば、元には戻れないですよ?」という久保先生の言葉は特に印象に残りました)

また、今後はSUUMOなどの住宅の売買・賃貸のポータルサイトで断熱等級を表示させる方向になるそうです。

住宅を一つの資産として考えるのであれば、売ったり貸したり出来るようにしておく事は必要かと思います。

今回のシンポジウムでは、行政・断熱設計の専門家・お医者さん・リノベ工務店と施主さん、建材メーカー(会場展示)様々な立場から断熱工事のメリットをお話しさせて頂きました。

セミナーを通じて住まいの断熱とSDGsに対して前向きに検討して貰える人が嬉しいのと同時に、僕達もアップデートした知識や経験をこれからも提案に活かして行ければと思います!

 

P.S

今井さんの施工後のインタビュー記事はこちらから・・