2024.4 リフォーム産業新聞に掲載頂きました!

地元の杉材活用して団地再生

家事動線をキッチン主体に

兵庫県明石市・神戸市で団地再生を多く手掛けるフロッグハウス(明石市)はリノベーション協議会(東京都渋谷区)が主催する「リノベーション・オブ・ザイヤー2023」に出展した。「これからの団地リノベのあり方を問う。」と題し、団地ならではの制約の中で、現代のライフスタイルに合わせた間取りに変更、地元・兵庫県産材を使った内容、予算内で断熱を施した。これらの点が評価され、800万円未満部門の最優秀賞と、プレイヤーズチョイスのW受賞に輝いた。

官民連携で実現

築46年の神戸市須磨ニュータウンの名谷団地の一室、民間連携によってリノベーションされたモデルハウスが本物件だ。62.07㎡という広さで予算は700万円。子育て世代の夫婦+幼い子供という2・5人を想定し、使いやすい家事動線・地産地消・断熱を叶えた質の高いリノベーションを目指した。以前の間取りは、玄関を入って横に洗面室、続いて浴室があり、玄関正面の扉を開けると独立したキッチン、隣りL D、他に和室が3室という、細かく分けられた3LDKの間取りだった。リノベーション後は、玄関横はベビーカーも置ける土間のシューズクローゼットに。キッチン、LD,和室の一室は大きな一つ付きの空間になり、中央には壁付けキッチンをベースにしたオリジナル天板のアイラインドキッチンを捉えた。浴室は場所を変えないまま、入り口のみキッチン側に90度変更。キッチンと浴室の間には、洗濯機や作業台を置いたユーティリティースペースを設けた。

こうして完成したのが、水回りがコンパクトにまとまり、ぐるりと回れる家事動線である。「結果的に、玄関の寒い洗面室を経由せずにお風呂に入れる動線になり、見学に来た団地住民たちから好評でした」と清水大介社長は話す。 予算は700万 隣家とつながるキッチンの壁全体に張ったのは、ナチュラルな雰囲気を演出する地元の兵庫県丹波産の杉材だ。実はこの壁は経年劣化で膨らみが生じていた。解体すると費用がかさんでしまうため、板で抑え込むことでコストダウンも兼ねた。4メートルの杉材はプレカットせずに購入し、カットして残った短い材はキッチンに張って有効活用もした。「質の高さ」を目指した今回のリノベーション。そこで外せなかったのが断熱だ。「予算の関係でまず外されてしまうのが断熱ですが、竣工後に実際に住んで評価も高いのも断熱だからです」。

内窓設置用の枠を取り付け

壁に施工したのは石膏ボードと硬質ウレタンフォームの複合パネル「アキレス準不燃NDパネル」。サッシは元々ペアガラスだったが、更に断熱性を高めたい時に内窓を入れられるように枠だけ付けておいた。「入居者は今なら補助金で入れられます」。住み継ぐ事を前提として配管の交換も行った。間取りは幼い子供を持つ夫婦を想定し、子供が大きくなったら住み替える事を前提に考えた。LDの窓際の一部はサンルーム兼ワークルームに。和室の一部屋は洋室に変え、壁は抜けなかったものの小さなのぞき窓を設けた。こうして、寝室の4畳半の和室以外、死角が生じない住まいとなった。

改修のきっかけは、神戸市が行うプロジェクト「リノベーション神戸」。これは、同士が都市ブランドの向上と人口誘因につなげ、子育て世帯に優しい環境に取り組むというもの。その一環として、既存住宅の流通促進、若年子育て世帯の定住促進を図り、戸建て・団地各一戸をリノベーションし、住み続けられる住環境を提案していた。

700万円の予算ありきでさまざまな工夫を詰め込み、プロポーザル方式で選ばれた同社。だが、コストカットの工夫も重ね、通常物件と変わらない粗利も確保出来たという。物件は1年間モデルハウス期間後に売却予定で現在1970万円で売りに出されてる。「同様の中古物件の相場が1000万円前後ですから、売れたら胸を張れます」

同社はリノベーション・プランナー2名で年商1億円。空室でのリノベーションに特化し、単価は600万円〜1000万円が多い。

プロポーザル案件もコンスタントに年一件程度、受注している。

会社概要

会社名:株式会社フロッグハウス

代表者:清水大介

本社所在地:兵庫県明石市

設立年:2011年

従業員数:3名

事業内容:リノベーション工事の設計・施工 シェアハウス シェアアパートメントの企画

会社全体売上高:1億円

リフォーム売上:1億円

 

※写真の注釈に「意匠性が高く、壁の膨らみも抑え込む役目も果たす杉材。間に下地も入れ5平米ほど部屋は狭くなる」とありますが、5平米ではなく5cmの間違いです。

編集部の漢字変換時に間違われたそうです。

(5平米も部屋が狭くなったら大変ですよね!)

大きく掲載頂いて嬉しい限りです。