8月5日は「シェア・キッチンの可能性」についてのイベントを開催しました!
フロッグハウスの2023年のお仕事の一つに、芦屋市の公共施設「打出教育文化センター」の改修工事があります。
こちらは昨年度から、武庫川女子大学や地域住民とのワークショップを重ねて要望・意見を聞きまして・・
そちらをベースに芦屋市がプロポーザルを実施。
そちらで採択されたのがフロッグハウス案でした。今回のイベントは、その案の発表も兼ねています。
その案の中でも1番の特徴となるシェアキッチン。
今回はその活用方法を学ぶ為にも、以前にフロッグハウスが施工した「シェアキッチン」が今、どんな使われ方をしているのか?報告を兼ねてレクチャーして頂きました。
(写真は昨年のワークショップ風景です)
まずは国際交流シェアハウス「やどかり」の中野みゆきさん。
やどかりは神戸市兵庫区の元旅館を再生して2015 年 7 月より運営。
外国人留学生や技能実習生が利用 34 か国の外国人の利用していました。
簡易宿泊業を取っており、1 泊からの利用が可能でした。
ところが、コロナにより稼働率が 10%となり・・
(リノベ前の キッチン。確かに、暗かったし雑然としていました・・)
経営改善のため、シェアハウスを多数経営する方へ相談。提携の話も出たそうですが、施設を見学されたシェアハウスの経営者から「ダサい」と一刀両断されたそうです。
その後起死回生のため、次に考えたのがシェアキッチン。思い切ってリノベする為に公庫から資金借りたそうです。
キッチンに合った棚を取っ払い、大きめのテーブルを設置。
多目的ルーム(食事場)は昼間でも暗かったので、こちらもリノベ。建築分野に関心のある留学生がプロに教わりながら工事しました。
(アジア系の留学生が多かったのですが、皆さん真面目に作業に取り組んでくれました)
大きなテーブルは皆が集まる場所。ワークショップにも活用。子ども食堂をもともとしていた団体が、移転をきっかけにやどかりを利用。
子ども食堂は海外の実習生もお手伝いされたりもしたそうです。
改修後のキッチンを活用した企画としては、ブラジル人ママの料理教室、中国人の正月料理(水餃子、豚まん)も開催・・
収納の壁を壊して大きなテーブルを設置した真ん中のテーブル。テーブルの下台は収納棚をそのまま活用しました。
造作で作ったキャスター付きの椅子は、中は食料を備蓄していまして・・
子どもが膝をつくとちょうど良い高さで子どもも参加しやすいと好評だそうです。
その後も月に1度の子ども食堂がきっかけで、近所の人にこの場所が「どういった事を行なってる場所か?」知ってもらえるきっかけになっ
たとの事。
(以前は、シャアハウスや外国人に馴染みのない方にはどんな場所か理解されていなかったようです)
1番の収穫は子ども食堂をきっかけに、地域との共生が広がったそうです。
他の子ども食堂へ技能実習生がお手伝いに行ったり、地域の農園のお手伝いに行ったりされているそうです。
この案件を担当したのは私(清水)だったのですが、発表をお聞きするまではそんな経緯での一念発起でのリノベの相談だったとは知りませんでした。
私自身がその昔「キッチンスペースが地域に開かれたゲストハウス」のビジネスプランで、ソーシャルビジネスの助成金申請で2回落ちた事があります。
なので、この案件には必要以上に勝手に思い入れしておりまして・・
今回のこの発表は録画して、あの時僕を「落選」とした審査員に送り届けてやりたいとすら思っています(笑。
以前子ども食堂開催時にお伺いした時は、ボランティアのご高齢の方から地域の子どもたち、学生さんから恰幅の良い紳士まで多種多様な方まで集っていたのを見て嬉しく思いました。
(恰幅の良い紳士は、寄付を集めて持って来て下さってたようです)
あの当時、僕はこういう絵を作りたかったんだな〜っと改めて思い返しました。
続きましては、「あしや市民活動センター(リードあしや)」の事例発表です。
リードあしやを運営している(特活)あしやNPOセンターは2007年に法人化。
2019年に芦屋市の公光分庁舎北館をリノベーションしました。
リノベーション後に開始した 自主事業「リードカフェ」。
「コミュニティビジネスとしてカフェをやってみたい」「 起業にはちょっと勇気が…」「やってみたいけれど場所と資金が…と」迷っている方などをまずはリードあしやのこの場所を使って挑戦する事が出来ます。
また、場所だけでなくこうしたスタートアップや創業に関わる事もサポートして頂けるそうです。
実際にキッチンカーによる開業に繋がったクレープ屋さん等も出てきているそうです。
コミュニティ保健室。
「学校にも保健室があるように、街にも保健室があれば良いと思いませんか?」っというのがコンセプトだそうです。
飲食の提供+看護師さんや薬剤師さんに来ていただき、体のちょっとしたことを相談できるそうです!
つきいちよるごはん
講師の方と子どもたちが夕飯を作り、一緒に食べる事も出来るそうです。
改めて活用事例を見たのですが・・
引き渡しから4年を経て、リードあしやのキッチンが、ここまで進化してるとは驚きでした!
市民活動を支援する組織・マインドなどのソフトがある所に、ハードの「シェアキッチン」が加われば「鬼に金棒」だと思いました。
また起業・創業支援系でのキッチンの使用は、やはり支援体制の整っているリードあしやさんににお任せした方が良いと改めて感じました。
リードあしやのキッチンスペースは、借りられていない時は普通にコーヒーを飲んだり、仕事や自習が出来るスペースになっています。
是非覗いて見てください!
最後の事例は芦屋浜自治会の集会所のキッチン。
芦屋市の南側に広がる特徴的な高層住宅です。
UR都市機構・兵庫県住宅供給公社・県営住宅・分譲住宅が混在してるエリアです。
その中にある、平家の集会所をリノベーションしました。
ビフォーアフタの様子はこちらから・・
こちらもその後に様々な企画が持ち上がっているそうです。
「利用率の向上」がテーマでしたが、幅広い年代にご利用頂いてるそうです。
ここは女子トイレを壊して厨房にしたのですが・・
(男子トイレを兼用トイレにしました)
新しく出来たキッチンでは蕎麦の会なども開かれてるそうです。
イベントなどではガス機器をフル稼働していました。
(正直、ここまで使い倒すとは思っていませんでして・・お見それしました!)
団地の集会所は、かつてはお葬式などにもフレキシブルに使われていましたが、今はそうした使い方も少なく・・
まさにリノベーションで新しい風を起こせる場所ではないかと思っています。
規模的にもこじんまりしてるケースが多いので、費用対効果は大きいのでは?っと思っています。
こちらは2017年の施工事例で当時500万円でした。
武庫川女子大学や自治会などを交えて「またあしたプロジェクト」という企画の中で、フロッグハウスはリノベーションを担当させて頂きました。
発表は当時裏方として取り仕切っていた元兵庫県住宅供給公社の神吉さんと、自治会の大永さんに発表頂きました。
自治会では、「またあした食堂」という食堂も運営されてるそうです。
位置付けとしては「子ども食堂」と同じようなカタチなのだそうですが、幅広い年代を支援したいという事で高齢者も来やすいように「またあした食堂」というネーミングで運営されてるそうです。
発表者の神吉さんの言葉で「良いコミュニティーは副産物」というのは、本当にその通りだと思いました。
皆さんすぐに成果物として「コミュニテーを!」となるけど、「まずは居心地良く、定期的に通える場所があり、その上で副産物として「コミュニティー」が産まれるのではないか?」っという事でした。
自然に集まりたくなる様な・・ある種「公共施設感」を消す事を意識してリノベーションしてきましたが、こうしてその後も人が集い、新たな企画が立ち上がってる事を本当に嬉しく思っています。
同時に、やはり活動する方々、活動をサポートするみなさんがあっての「シェアキッチン」だと、改めて感じました。
これらの企画の大半は、改修時やオープン当初にはありませんでした。
運営していく中で、次々と新しい企画や挑戦が生まれて行って、「それがひいては街に新しい風を起こして行っている」と改めて感じました。
最後に発表者の皆さんと記念撮影。
今回のプロジェクトも、武庫川女子大や自治会・住民さん・行政関係者と様々な方々からバトンを継いで頂いて・・
これから僕らのフィールドである「リノベーション」という段階に入ります。
自らハードルを上げるようですが「機能的」で、「みんなが思わず使い倒したくなる」施設に生まれ変わるのは大前提だと考えています。
その上で、次にこの施設を「使い倒してくれる人」にバトンを継いで行けるように、精一杯努めて行ければと考えています。
施設は来年4月にオープン予定です。
ご期待ください!!