Writer:Y.U(施主本人)
これまでフロッグハウスの記事では、施主の方々へのインタビューを通してさまざまなリノベーションのスタイルを紹介してきました。
今回は少し趣向を変えて、施主ご本人にフルリノベーションを体験した日々を赤裸々に綴っていただきました。
生の声をどうぞお楽しみください。
初めまして、東京から明石に移住してきた施主です。
本編に入る前に少し自己紹介させてください。
現在30代前半、愉快な夫と1歳の娘と私の3人家族で暮らしています。
私は親が転勤族だったため大阪と千葉を行き来しており、いわゆる「地元」と呼べる場所はありませんでした。
両親は関東で賃貸暮らしをしており、「私も一生関東で賃貸暮らしかな」となんとなく思っていました。
そんな私がなぜ兵庫県の明石へ移住し、10年以上空き家だった築古物件を購入し、フルリノベーションに至ったのか?そしてそこで手に入れた暮らしとは?
今回の記事は、
明石との出会いからフルリノベーションを決意するまでを綴った前編、
完成した家をまるっと公開している中編、
そして実体験をもとにリノベーション会社の選び方をまとめた後編の、全3部構成でお届けしています。
リアルな体験を包み隠さず綴った3本です。
リノベーションを検討している方はもちろん、
今は予定がない方も「こんな人もいるんだな」と気軽に楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。
フロッグハウスさんからは「施主目線で忖度なくありのまま書いてください」とおっしゃっていただいたので、本当にそのまま本心でお届けします。
長くなってしまいましたが、どうぞ最後までお付き合いください。
◼︎DATA:
住所:兵庫県明石市
スタイル:マンションリノベーション(94.57㎡、築42年)
費用:リノベーション費1240万円
フロッグハウス担当者:笹倉みなみ
前編|明石移住・物件との出会い
東京を出たい、でも勇気もきっかけも無かった
東京の大学を出て、東京の会社に就職。素敵な友人にも恵まれた。
東京での暮らしは賑やかで楽しかったけれど、ふと「ずっとここで暮らすのか?」と思う瞬間もあった。
地方移住サービスに登録したこともあるが、今まで積み上げてきたことを投げ出してまで移住する勇気ときっかけも無く、Instagramで「#移住」をフォローし眺めては「老後は家の前で釣りしながら暮らせたらいいな」なんて夢想する日々。
東京時代、家=寝るための場所だと思っていたため、勤務地に近い立地を最重視して選んでいた。
しかし突然の新型コロナウイルス到来によりリモートワークを余儀なくされた。
当時付き合い始めた現夫からキャンプテーブルやイスを借り、なんとか即席リモートワークスペースを作ったが、2人でいる時にオンライン会議がかぶるとどちらかが洗面所へ閉じこもり、夏は汗だく、冬は凍えながら仕事をしていた。
外出を控えながらも自然が好きな私たちは狭いベランダに無理やりテーブルを出してご飯を食べたりもしたが、目の前には高速道路やマンションが立ち並び、開放感はゼロ。
「高い家賃を払ってなぜここで暮らしているんだろう?」という疑問を抱えながらも日々を過ごしていた。
明石ってどこだっけ?からの大逆転
そんなある日。大阪出張に行っていた現夫から一本の電話。
「明石、ほんまにやばい。明日リモートで内見参加できる?」
――ん?明石ってどこ?内見?てか大阪出張って言ってへんかったっけ?
どうやら昔からの友人夫婦が明石に移住したことを思い出し、大阪出張ついでに会いに行きアテンドしてもらった明石に魅了されたようだ。
翌日、促されるがままにリモート内見に参加したが「テンションの上がった夫が何か言っているぞ」程度にしか考えていなかったため私の熱量は低め。
そのまま2週間が経過した頃、「新幹線代出すから一回だけ明石に一緒に来て欲しい」と真剣モードの夫に懇願され「一回行ってみるか」と重い腰を上げた。
これが、私の人生を変える旅の始まりだった。
明石アベンジャーズとの出会い
私の明石初訪問日、夫は午前中に仕事があったため1人で明石に降り立った。
東京からは新幹線で意外とスイーッと行くことができた。
到着してまず驚いた。意外と都会である。
そして駅近くの商店街も非常に活気がある。
少し歩くと目の前には穏やかで壮大な瀬戸内海が広がっていた。
リュックに父おさがりの折りたたみ竿を忍ばせていた私は、釣り餌を買って糸を垂らした。
岩の間に糸を垂らすたびに「ピクピクっ」とわりと強めな反応が。
何度も餌を取られるばかりだったが、「間違いなく私の足元に魚がいる」という事実がアドレナリンを大放出させた。
女1人で餌釣りをしている物珍しさからか地元のおじさんがおじさんを呼び、あれよあれよと7名ほど集結。
「あっちに投げた方が釣れるで」
「この仕掛けあげるわ」
「この間、40cmのベラを釣ってな」
と皆さんよく喋る気さくな人たちだった。
勝手に「明石アベンジャーズ」と呼ばせていただくことにした。
明石の海を知り尽くしたアベンジャーズに言われた通りに投げると、なんと一発で立派なベラが釣れた。
東京時代は前もって「釣りに行くぞ!」と意気込み、早朝起床・始発で神奈川や千葉へ向かい、酔い止めを飲んで船釣りし、ヘトヘトで帰宅してから魚をさばき、食べる頃には深夜。
趣味とはいえハードだった。
そんな私にとって、岸からポイと投げてこんな簡単に魚って釣れるの?と自分の中での当たり前が覆った瞬間だった。
「保冷剤、持ってきたで。冷やして持って帰り!」
そんな明石アベンジャーズの温かさとキャラの濃さに触れている間に「私、ここで生きていく!」と直感した。
合流した夫は、あまりに多いおっちゃんの数と明石に魅了された私に驚いていた。
そして、その日に内見した賃貸物件に即申し込み。
そんなこんなで急遽お試し移住が決まった。
明石が好きすぎてなぜか延泊すると言う夫に別れを告げ、
翌日の仕事のために釣った魚を明石アベンジャーズの保冷剤で冷やしながら東京へ戻った。
深夜に釣った魚の煮付けを食べながら、人生が大きく動く予感がしてドキドキと胸が高鳴っていたことを今でも鮮明に覚えている。
散歩・釣り・美味しいお店、QOL爆上がりライフ
ご縁と勢いでお試し移住したが、想像以上に幸せな暮らしが待っていた。
賃貸で住み始めた家はオーシャンビューど真ん中でベランダからの景色には毎日懲りずに感動していた。
海岸を散歩しながら美味しいコーヒー屋・パン屋・神社を巡り、季節ごとに異なる海の様子を観察することから1日は始まる。
朝の大蔵海岸は老若男女、散歩中のワンちゃんまで皆幸せそうな表情でなんとも言えない幸福感に包まれている。
寒い冬が明けると小魚たちが元気に海を駆け回り、春の到来を教えてくれる。
夏になるとアオリイカの赤ちゃんたちがクリオネのようにフワフワと舞う。
家の前でポイと投げると美味しいアオリイカが釣れる、そんな世界線があるなんて。
秋は釣りたてのカワハギの刺身と肝醤油が悶絶級に美味しい。
(釣り好きではない夫も流石にカワハギは絶品すぎて釣り参加率が高い)
釣ったからには命に感謝して、明石の海の恵みをしっかりと味わいたい。
カワハギの薄皮も捨てずに湯引きしていただく。
自然が真横にあると毎日がリフレッシュできるので仕事にも集中できる。
仕事後は夜風に当たりながら「龍の湯」へ行ってサウナや漫画を楽しむのも良し、ワクワク感が癖になる夜釣りに行くのも良し。
小一時間トライして反応が無ければ切り上げて明日またやれば良いので気楽だ。
休日には少し自転車を走らせるとバーベキューができる林崎松江海岸もある。
こんなに素晴らしい場所なのに人が少なく場所取り合戦は皆無。
朝起きて天気が良ければ気分に合わせてデイキャンプへふらっと出かける、そのゆるさが心地良い。
そして明石には新鮮な海鮮や美味しいお店もたくさんある。
量も多いのに安価な値付けのお店が多く、移住してから確実に舌が肥えた。
気付けば離れられなくなっていた
そんな明石の自然や環境を満喫しながら暮らしていたが、移住当初友人はほとんどいなかった。
しかし夫が持ち前のコミュニケーション力(本人は人見知りだと言うが絶対に違う)を活かし、友人がご近所にどんどんと増えていった。
明石での新しい出会いにも恵まれ、大人になってからこんなに友達が増えることに驚きつつ幸せを感じた。
そして夫の昔からの友人ファミリーが気付けばご近所に4世帯も住んでいるという異常な集結具合。
「いや、移住ってそんなするもんなん?」と自分のことは棚に上げて驚きである。
初対面の人とも「明石ってほんまに奇跡の街やんな」という圧倒的な共通認識があるため打ち解けやすく、一緒にいて居心地が良い人たちばかりだ。
外を歩くと高確率で友人知人に遭遇し、ちょっと井戸端会議をする。
飲食店の方も何度か行くとすぐに顔を覚えてくれる。
気付けば明石は私にとって単なる場所ではなく、初めて「これが地元ってやつか」と感じるくらいの心地良い居場所になっていた。
移住したことを知り旅行がてら足を運んでくれる人がいたり、東京出張に合わせて関東の友人や両親とは意識的に会うようにもなり、遠方の人との繋がりも結果的に強くなったことも嬉しかった。
突然目の前に現れた10年以上空き家だった物件
そんな明石に魅せられた私たちだったが、周囲の友人たちが物件を購入してフルリノベーションをしている姿を見て、「自分たちが好きな空間で暮らしたい」という小さな欲求がふつふつと芽生え始めた。
不動産屋さんには恐縮しながらも、ゆるく物件探しを始めた。
今思うと割と癖強めな要望を伝えており、活字にすると恥ずかしい。
・引っ越ししたいわけではなくフルリノベがしたいため、リフォームされてない古い物件希望(いつまでと期限が決まっていないが情報は欲しがる嫌な客)
・賃貸で暮らしていた家がTHEオーシャンビューだったため、リビングから海と明石海峡大橋が見えないと無理(わがまますぎる)
・95平米ほどの広さだと理想(そんな物件ほぼ無い)
・明石駅周辺の飲食店や公園にすぐ行ける距離だと嬉しい(もはやうるさい)
いくつか案内してもらったが、売り出すために表面上綺麗にされている物件には「リフォームされちゃってますがもっとボロボロが良いです」と綺麗なことに難色を示す癖夫婦。
海が少し見える部屋だとしても「もっと、バーーーーンと見たいんですよね・・」とテンションが上がらない。
ハードルが上がりすぎていると自覚しつつ、賃貸で住んでいる部屋からの景色が素晴らしすぎてつい比べてしまう。
明石駅周辺にマンションはいくつかあるが、70~75平米の部屋が多く95平米ほどの広さを求めると物件は無かった。
月日が経過していったがある日「理想の物件が出ました!明後日に内見できますが、配管や設備に詳しいリフォーム会社の方も連れてきていただけると良さそうです!」と不動産屋さんから興奮気味に連絡があった。
よくぞ私たちのことを思い出してくれたものだ。
非常に急展開だったが、友人がフロッグハウスさんのことを教えてくれ、リノベーションを依頼するかも分からない状況だったが内見に立ち合ってくれることとなった。
その友人はフロッグハウスさんのことを明石駅近くのおしゃれなコーヒー屋さんに置いてあるパンフレットで知ったようだ。
そしてついに条件を全て叶える物件に出会ってしまうのだ。
10年以上空き家だったため床は歪み、配管からは水漏れを起こしているフルリノベーション必須物件だった。
どこまで大改造できそうか設備や配管について同行してくださったフロッグハウスの清水さんに伺いながら内見でき、非常に心強かった。
フルリノベーション経験も知識も無かった私は、まずどのようなポイントを確認すべきか?すら分かっていなかった。
しかし清水さんが現場で「管理規約」や「竣工図」から、水廻りの位置変更が可能か(キッチンの場所を大幅に動かせるか)など細かな点まで確認しながら説明してくれた。
窓からは瀬戸内海と明石海峡大橋を一望でき、広さも十分の物件のため、即購入!と言いたいところだったが、人生初の大きな買い物のため夫婦でよく話し合った。
明石は近年、私たちのような移住者や、子育て支援に魅力を感じた近郊都市のファミリー世帯が流れ込み、”明石バブル”状態で物件価格も強気だ。
そのため以下のようなことを何度も繰り返し考えた。
・物件購入+フルリノベーションした際の支払い vs 賃貸を継続した際の比較
・リノベ欲の高まりで購入を検討しているが、本当に今後明石に永住するのか
・築古物件のリスクや移住時にもチェックしたもののハザードマップは問題ないか
何度か物件に足を運び数ヶ月ほど悩んだ末、ついに購入を決断した。
明石には最高の環境と、自分たちの人生に欠かせない大好きな人たちもいる。
何より自分たちで決めた道を一緒に楽しめる最高のパートナーもいる。
慎重派な性格の私だが、時には「えいや!」と行動することが人生をより楽しい方向へ導いてくれることを移住体験が教えてくれた。
そんな実体験もあり、最後はご縁と勢いで物件の購入も決めた。
ここまで長くなってしまったが私たちが移住し、築古物件の購入を決意するまでをお届けした。
果たしてフルリノベーションした結果、どんな家が完成し、暮らしはどう変わったのか?
そして「どんなポイントを見てリノベーションをお願いする会社を決めるべきか?」も包み隠さず後編で全公開している。
特に今後リノベーションを検討している方にはぜひご覧いただきたい。
インタビュー中編|完成した家を大公開!
Writer:Y.U(施主本人)
果たして購入した築古物件が、どんな風に生まれ変わったのか。
今日はその全貌を、惜しみなくお見せしたい。
これからリノベーションを検討している方にもぜひ一例としてご覧いただきたい。
フルスケルトンからの家づくり
完成までのストーリーを語ると長くなってしまうので、
まず取り壊された家がどんな空間に生まれ変わったのかをお見せしたい。
一つひとつに思い入れがあるが、特にこだわったポイントをなんとか4つに絞ってみた。
① 光と人が集まる、瀬戸内リビング
間取りは複数パターンで悩んだが、光が差し込む明るいリビングにしたかったため「2面採光」で余白を贅沢に残す設計を選んだ。
キッチンに立つと、家族の笑顔とともに瀬戸内海、明石海峡大橋、淡路島までが一望できる。
この景色を見るたびに「この家を作ってよかった」としみじみ思う。
反対にリビングからキッチン側を見ても「なんて良いキッチンビューなんだろう」と夫婦で度々盛り上がる。
寒い日でも日が差し込めば、木の温もりも相まってポカポカと日向ぼっこが捗る。
私のお気に入りは朝時間だ。
少しずつ太陽が空高く登るにつれやわらかな光がダイニングまで伸び、キッチンの天板や木の質感を優しく照らしてくれる。
最後まで悩んだ末に決めた深いグリーンのタイルが輝く朝の光景は、これから始まる1日をそっと後押ししてくれる。
この広いリビングルームには多くの友人や子供達が集まっても窮屈さを感じない。
年末の集まりや、定期的に開催している先生と友人との朝ヨガなど、 “人が集う場所”としてこの空間が活躍している。
夫の友人たちは毎年年末にプレゼン大会を開催する謎の恒例行事がある。
毎年東京で開催していたが、気付けば3世帯が明石に移住したためここ2年間は明石開催となった。(明石出身者は1人もいない)
昨年は我が家で開催したが、広いリビングのおかげで大人数でもなんとか収まった。
また、明石生活で出会ったヨガの先生には定期的に自宅へ来てもらい、夫や友人と共に朝ヨガをしている。
好きな空間でヨガを楽しめるとはなんとも豊かな時間だ。
② 海を眺めて働く、4つのワークスペース
夫婦ともにリモートワークの日も多いため、家の中には4つの仕事スペースを設けた。
仕事に煮詰まった時は、席を移り海を眺めて深呼吸と伸び。それだけで頭がリセットされる。
寝室には室内窓を造作してもらうことで光を取り込んだ。
テーブルとして使用している一枚板は義父から譲り受けた大切な思い出の品だ。
愛着を込めて夫婦でプチDIY体験をさせてもらいながら完成した。
椅子に座った状態から室内窓越しに海が望めるよう窓の位置を何度も検討した。
義父も現場に来て相談しながら決めていった過程が思い出に残っている。
ベランダ側のワークスペースは、日差しや海面のきらめきが控えめな曇天日に使用している。
晴天だと海がきらきらと輝きすぎて仕事ができない、というこの上ない幸せな悩みだ。
終日在宅ワークで引きこもる日も、この家ならリフレッシュしながら仕事に集中できる。
前編に書いた東京での“洗面所ワーク”時代からの激変っぷりに思わず笑ってしまう。
③ 帰るたびに心ほどける、我が家の土間
玄関は少し歪な形を逆手に取り、思い切って広い土間スペースに。
「広い土間がある家に住みたい」と引っ越し前から夫の土間熱が非常に高かったので、玄関はほとんど夫にお任せしたところ、大迫力の土間が完成した。
この物件ならではの巨大な極太の梁はあえて剥き出しに。
昔の大工さんの手仕事をそのまま残した。
帰宅時に扉を開ける度にほっこりと落ち着いた気分になり、友人を招いた時は大抵「おぉ〜!」とお手本のような反応をしてもらえる。
娘がハイハイで辿り着けない唯一のエリアのため、季節のお花を飾ったりと大人だけの秘密基地的スペースだ。
パーケットフロアはフロッグハウスさんに教えてもらいながら夫婦で塗装した。
素足で踏むと木の温かみを感じる。
お借りしたサンプルを何度も踏み比べて選んだ素材だ。
このパーケットフロアを見ると、まだほにゃほにゃだった娘を抱っこして現場へ通ったあの頃を思い出す。
建築士である義父のアドバイスで取り入れたRのカーブは空間にやわらかさを添えてくれる。
文章を書きながら、土間だけでもこんな思い出に溢れているのだと再認識できた。
このなんとも表現しがたい充足感・幸福感こそ、間違いなくフルリノベーションの醍醐味である。
④ 共働きの暮らしを整える、小さなリノベ術
こだわりの空間をメインにお伝えしてきたが、仕事と育児を両立する中で家事負担を最小限にする機能面も重要だ。
友人宅を参考にしたり、フロッグハウスさんにご提案をいただきながら、動線、収納や設備面にも工夫を凝らした。
まず、洗面所にランドリースペースを作り、洗濯物を仕分けて収納できるようにした。
夫婦ともに「洗濯物をきっちり畳んで寝室にあるタンスへ収納すること」は絶対に無理だと分かっていたため、このようなスペースは必須で欲しいと初回の打ち合わせから伝えていた。
また、快適な暮らしを支えるのがキッチン裏のパントリーだ。
賃貸時代は調理器具の置き場に困っていたが、今はすっきり収まり見た目も快適。
パントリーや洗面所の入り口はあえて建具を付けず、アーチやリネンカーテンでやわらかく仕上げている。
パントリーの壁紙は当初ネイビーを検討していたが、最終的に薄いブルーグレーを採用。
現場では「ネイビーが可愛い」と盛り上がったが、濃すぎる色だとあまりにトンネル感が強く出そうだと数時間後に冷静になった。
空間全体をイメージしながら壁紙のカラーを検討する工程は、難しくも楽しい体験だった。
そんな思い出のアーチはキッチンビューにも良い具合に馴染んでいる。
このように10年以上空き家だった築古物件は、フロッグハウスさんや大工さんの手によって蘇り、今では多くの人が集う、あたたかな居場所へと生まれ変わった。
娘の成長と共に出来上がっていったマイホームには愛着が詰め込まれ、選んだ素材や形の一つひとつに思い出が宿る。
いつの日かこの記事を読んだ娘の反応が楽しみだ。
完成した家を詳しくご紹介してきたが、続いて最後の後編では「私たちがどのようにリノベーションをお願いするパートナーを決めたのか?」をお届けしたい。
人生で最も大きな買い物を失敗しないために、必要だと考える4つのポイントを実体験を元に解説していく。
もうしばしお付き合いいただけると大変嬉しい。
インタビュー後編|リノベーションを依頼するパートナー選びの極意
Writer:Y.U(施主本人)
家づくりに詰め込んだ愛着やこだわりを紹介してきたが、ここに至るまで多くの試行錯誤があった。
こんなにも夫婦で話し合って決めていくのは初めてだった。
結婚式の時も色々と決めるべきことは多かったが、何十年も住む家となるとより一層慎重になる。
そして、人生で最も高い買い物である”家づくり”をお願いするパートナー選びは絶対に失敗したくない。
この後編では「どのようなポイントを見て選ぶべきか」を、実体験をもとに綴る。
以下をご覧になっていない方は、ぜひこちらからどうぞ。
・前編(明石移住・物件との出会い):https://froghouse.top/archives/16439
・中編(完成した家を大公開):https://froghouse.top/archives/16538
鍵は「パートナー選び」にあり
リノベーション経験のない私たちは、最初どこに何をお願いすればいいかも分からず手探りのスタートだった。
フルリノベーションには、
・設計事務所に設計をお願いし、工務店に工事を依頼するパターン
・設計と工事を一体で請け負うリノベーション会社にお願いするパターン
など、いくつかの進め方がある。
どちらが良い悪いではなく、自分たちの希望や進め方が合うパートナーを見つけることが大切だ。
リノベをお願いするパートナー選びにおいて大事だと考えるポイントをなんとか4つに絞ってみた。
一個人の実体験として、ぜひ参考にして欲しい。
① 得意領域と提案力をみる
私たちは6社ほどに問い合わせ、そのうち3社から具体的な提案や見積もりをいただいた。
排水管などの設備に強い会社、ヴィンテージデザインを得意とする会社、戸建ての実績が豊富な会社、オフィス空間やカフェまで手がける会社など、本当にさまざまだった。
フロッグハウスさんは、明石生まれの2名体制という地域密着型。
団地や築古物件の再生に強く、「海沿い明石の築古物件で快適に暮らす」ための提案にも強かった。
複数問い合わせた中で、フロッグハウスさんは唯一初回の提案が有料(10万円)だった。
前編に執筆した通り、急遽の初回内見へ同行いただいたり、それ以外にも、図面・規約の調査を通して専門的な視点でアドバイスを何度もいただいた。
その中で感じた信頼感や素敵な人柄も相まって、一旦区切りとして謝礼という意味でもお支払いすることを夫婦で決めた。
その結果、提案料が発生したフロッグハウスさんが最も本気で向き合い熟考してくれたため、他社よりも提案の質が圧倒的に高かった。
間取りの提案も希望したため、考えうるパターンを4つも提示いただき、一気に具体的なイメージが膨みワクワクしたことを覚えている。
10万円は安くはない金額だが、初期段階で検討可能な間取りを把握できるため、広いスペースをフルリノベーションする場合は非常に価値があると感じた。
提案力に加え、打ち合わせにおいても、こちら側の希望を上手く汲み取りながら良い方法を提案いただける柔らかなコミュニケーションやスタンスにも魅力を感じ、フロッグハウスさんにお願いすることに決めた。
地域密着で”明石海沿い暮らし”ならではの注意ポイントも熟知されているため、例えば強風の日にドアが勢い良く閉まらないようストッパーを取り付けるなど、見落としがちな細部にまで気を配った家づくりを実現してくれた。
② 床や天井・配管・断熱―暮らしを支える裏側の整備
引っ越したいというよりリノベしたい」という浮かれ気味の私たちは見た目の装いばかりに意識が向いていたが、実際にはまず基礎の整備が何より重要だ。
フロッグハウスさんからは他社が手薄だった以下について提案いただき、見積もりにもしっかりと反映されていた。
・床の歪みを整える二重床
・天井のかさ上げ
・配管の総入れ替え
・断熱と二重サッシの導入
二重サッシは「本当に全窓に導入が必要なのか?」と当初迷ったものの、四季を通して暮らしてみるとその大切さを痛感した。
遮音性や冷暖房の効きやすさから、友人にもおすすめしたくなるほど絶大な効果を発揮しているのだ。
以前の家では海風や漁船の音が聞こえる日も多々あったが、二重サッシがあると非常に静かで落ち着く。
お昼寝中の娘もすやすやポカポカと気持ちが良さそうだ。
ご提案いただいた会社によっては表面上の装いに予算の多くが配分されており、見えない部分をしっかりとフォローできていない提案もあった。
専門知識が必要な領域こそ、プロからの提案が無ければ検討段階で必要性に気付けず、暮らし始めてから床の歪みや風の音に悩まされていたかもしれない、と思うと恐ろしい。
後から床や天井を変えたいと言っても一番最初に工事する基盤部分なので手遅れだ。
フルリノベーションは理想を全て叶えると確実に予算オーバーとなるため、「優先順位をつけてプラスアルファの要素は削る」という意思決定も必要だが、基礎の整備に関しては節約せず網羅しておくと安心だ。
「こんなはずじゃ…」と後悔しないよう、見えない部分への整備も考慮されているか?見積もりにどこまで反映されているか?をよく確認し、信頼できるパートナーを選んで欲しい。
③ スピーディー or じっくりカスタマイズ?小さい工務店の強みと弱み
フロッグハウスさんは2名体制のため、打ち合わせから施工まで窓口は笹倉さんが一貫して担当してくれた。
大きなリノベーション会社は、フロント(顧客窓口・進行管理)、デザイン、設備面などそれぞれの専門家が集まりチームを作るケースもあったが、担当が分かれているため質問への回答まで時間がかかるケースも多かった。
しかしフロッグハウスさんの場合は、2名という少数にも関わらず築年数の古い物件をリノベーションしてきた豊富な実績を持っているため、「大抵のことは笹倉さんに聞けば解決する」という安心感があり、コミュニケーション上のストレスが無かった。
一方で小さな工務店は提携している職人さんの数が限られるため、職人さんの工程が空くまで1ヶ月ほど待った。
ある程度決まった型をベースに良い感じの家を短期間で作って欲しいという方には、大きいリノベーション会社がマッチするだろう。
私たちのようにじっくりと決めていく過程も楽しみたい方の場合は、唯一無二の家が完成するまで寄り添って対応してくれる小さな工務店がおすすめだ。
工事中の現場へは頻繁に顔を出したが、毎回大工の宮本さんが丁寧に作業をしてくれていた。
出産を控えていた私に椅子やうちわをすぐに持ってきてくれる優しさに毎回癒された。
お風呂でくつろぐ妄想中の夫にも宮本さんはちゃんと突っ込んでくれる。
私たちのプチDIYごっこにも嫌な顔せず付き合ってくれる優しいチームの皆さんに毎回会えるのが楽しみだった。
解体工事をして初めて分かる予期せぬ事態(配管が逆勾配になっていたり隠れていた梁の出現)もあったが、都度最適解を考え柔軟に対応してくれた。
例えば洗面所に思わぬ梁が出現し、予定していた三面鏡がサイズ的に入らないことが判明。
しかし臨機応変に造作へ切り替え、「できる限り大きい鏡にしたい」という我々の希望を汲み、内側の収納スペースと表面の鏡部分の大きさを変える細かな調整を施してくれた。
鏡を使うごとにフロッグハウスさんや宮本さんが急な変更にも柔軟に対応してくれたことを思い出す。
また、キッチン横の壁にできた配管スペースを工夫して収納スペースの設置を提案いただいた。
当初全くこのような棚は考えてもおらずお願いしていなかったが、使用頻度の高い調味料を複数並べることができ、暮らし始めてからその便利さを実感している。
工事が進む中でも状況に応じて親身に寄り添ってくれるスタンスと柔軟さは、小さな工務店ならではの魅力だと思う。
産前産後の時期はゆっくりとキッチンタイルを選んだりと最終の仕上げ部分を詰めていった。
笹倉さんとは大阪のショールームも一緒に回り、どんなキッチンが良いか?イメージを膨らませた。
キッチンにはタイルを付けたかったがなかなか決めきれず、大阪の名古屋モザイクのタイルを一緒に見て回った。
「このタイルおしゃれやなーー。わ、値段がエル◯スすぎて2段しか貼られへん」などと笑いながら一緒に悩んだ時間も良い思い出だ。
最終的には笹倉さんのおかげで質も値段も満足いくタイルに出会えた。
フロッグハウスさんや宮本さんとは頻繁に顔を合わせていたため娘の誕生も心底喜んでくれ、もはや親族並みの親密具合となった。
職人さんも含めて近い距離感になれるのは少数精鋭チームならではのメリットだ。
④ 最終的には"誰にお願いしたいか?"で決めるべき
リノベーションは、数ヶ月にわたる長期の共同作業のため、最後は「人」で選ぶのが良いと思う。
どの会社も親切な方が多かったが、住居ということもあり少しでも頼りなさを感じると不安になる。
また、こちらの希望よりも会社の推奨商品やおすすめの型をプッシュされていると感じるケースもあった。
コミュニケーションのしやすさも含め、提案段階で少しでもやりづらさや違和感を感じた場合は完成まで長いので慎重に判断した方が良い。
フロッグハウスさんは前述の通り、初対面の時から一貫して信頼でき、私たちのふわっとした理想のイメージを形にできるよう徹底的に伴走してくれた。
また、笹倉さんがおすすめしてくれる素材や色を私たちも素敵だと感じる感覚の方向性が近かったことも大きかった。
そして初回のオンライン打ち合わせで判明したのだが、なんと担当してくれた笹倉さんは当時住んでいた家の真隣に住むお隣さんだったのだ。
分かった時は「東京から移住してきました!と私たちが菓子折りを持ってピンポンしたあの方ご本人ってことですか???」と驚き動揺したが、これはもう強いご縁に引き寄せられているとしか思えない。
毎回の打ち合わせはどちらかの家に集まり、まるで文化祭の準備のようで本当に楽しかった。
フルリノベーションされたおしゃれな笹倉邸に足を踏み入れる度に「自分たちの家と同じ間取りなのが嘘みたい…」と素敵な空間にテンションが上がった。
洗面台の幅を測らせていただいたり、同日に昼と夜2度もお邪魔してダウンライトの明るさや必要個数を考えたり、ピンポンを押して「お邪魔します!」と言った回数はもはや覚えていない。
笹倉邸の床が素敵だったため、土間のパーケットフロアへ同じ素材を取り入れた。
フロッグハウスさんのモデルルームを徒歩2秒で内覧できる特別な環境に感謝だ。
直接会わない日も「床の候補素材を3種類、置き配しておきました!」「ありがとうございます!1週間踏んでみます!」など日々やり取りしたあの頃が懐かしい。
引っ越し当日はマンション下の引っ越しセンターの車を見て、笹倉さんから「家が完成して嬉しいのに、お隣の部屋からいなくなってしまう寂しさで、過去一複雑な心境です」というメッセージをいただいた。
私も全く同じ気持ちだった。
夜な夜な家に集まり、生まれたての娘に「どっちの色が良い?」と選ばせながら打ち合わせをした、あの青春(?)の日々は一生忘れないだろう。
引っ越してしばらくしてからフロッグハウス清水さん・笹倉さん、そして職人の宮本さんを招いて大宴会を開いた。
家づくりを進める中で、何度も話し合い、悩み、笑い、ハプニングも含めて全てが色濃い思い出となっている。
盛り上がらないはずがない。
宴会でも上下関係なくツッコミを入れ合う最高のチームプレーを見て、 「この方々にお願いできて本当に良かった」と改めて思った。
「家が完成するまでは見届けられても、その後の話を聞ける機会はない。こんな風に招いてもらえるのは理想形」と宮本さんの口から聞けて心がじんわりと温かくなった。
これからもこの家と娘の成長を変わらず近くで見守っていただきたい。
そんな風に思える方々にお願いできて本当に良かった。
本記事を読んでくださっている方の中でリノベーション検討中の方がいらっしゃれば、どうか素敵なパートナーと出会えるよう祈っている。
最後に
大変長くなりましたが、私の実体験はお楽しみいただけましたでしょうか?
「本当に好きなように書いてください!」とフロッグハウスさんにおっしゃっていただき、つい明石に移住した数年前から振り返ってしまいました。
ご縁と勢いで東京から明石へ移住し、「リノベしたい」という軽いノリのつもりが気付けば10年間空き家だった物件を購入。
そして、まさかのお隣さん・笹倉さんが担当してくださるというミラクルもあり、フロッグハウスさんや宮本さんといった“明石原住民”の皆さんに素敵なお家を作ってもらうことができました。
移住や家づくりを通し、一つひとつの決断と人との出会いが「人生をより豊かにしてくれる」ことを今まさに実感しています。
今後も明石という場所で、この家と人々の温かさに包まれながら幸せに暮らしたいです。
そして、今後もしライフスタイルに合わせて家をカスタマイズしたくなった時には、迷わずフロッグハウスさんにお願いすることでしょう。
▶︎施工事例写真
































































































