2015年7月 朝日新聞掲載

froghouse/ 7月 30, 2015/ Media

「若者おいで 団地再生」に掲載されました。

団地から見た夕日、公園の遊具、子供たちが遊ぶ数十年前の写真・・・。「明舞団地フェイスブック」には、「懐かしいですね」「ジーンときました」などコメントが並ぶ。写真を投稿しているのは、県住宅政策課の職員ら3人。3年前の春から始めた。

フェイスブックには、新しくなった商業施設やエレベーター付きに建て替えられた高層住宅の紹介記事も載る。

「かってこの街で少年少女時代を過ごした方々が、『もう一度住もうか』と思ってくれたら」。同課の谷川順彦主幹(43)は語る。

県は2003年度から明舞団地の再生事業を展開。NPO活動を誘致したり、住民から街づくりの意見を募ったりしたほか、周辺の県立大や神戸学院大などとも連携。09年には団地内の空き店舗を使い、ゼミ活動などの拠点「明舞まちなかラボ」を開設した。

4年前からは「学生シェアハウス」事業を続ける。自治会活動への参加などを条件に、県営住宅の空き家を提供。現在10人の学生が暮らす。家賃は月1万400円〜2万5千円で、単身でも複数でも入居できる。9月にはさらに数人が加わる予定だ。

団地生活3年目の県立大大学院生、尾崎斉人さん(25)は「この前、敷地内の家庭菜園で『タマネギいる?』と声をかけられました」。ラボで週1回、住民対象の無料パソコン教室を続ける。昨年入居した神戸学院大3年、浜中誠さん(20)は自治会が開く会合に出席し、団地内の溝掃除や祭の準備などに参加。「お酒を酌み交わしながら自治会役員のお年寄りと話をするのは楽しい」と話す。県立大経済学部の和田真理子准教授は「地域孫、と私は呼んでいるんです」。学生の入居で、祭りなどの地域活動に参加する高齢者も増えたという。

だが、学生が住めるのは就職するまで。県が「次の一手」として準備を進めるのが、古い居室をリノベーション(大規模修繕)したモデルルームの公開だ。

分譲受託が対象。子育て世帯や若者向けの改修例を、高齢者向けと同時に業者から募集。9月から約半年間、団地内で公開する。現在応募があったプランを選定中で、採用されれば、業者はモデルルームを活用したPR活動もできる。谷川主幹は「50平米程度の居室の売買価格は現在数百万円。リノベーションしても500万円前後で購入できる部屋もある」と話す。

明石市の建設業清水大介(フロッグハウス)は3年前、メゾネットタイプの分譲の居室を買い取り、床に無垢材を使うなどして女性専用のシェアハウスにした。若い女性に人気で、これまで述べ15人ほどが入居。団地内でほかにも数件の改修工事を受注した。

50年で大きく育った桜や、ゆとりのある緑地空間、点在する児童公園・・・。自身も明舞団地で育った清水さんは、団地内の魅力を体感してきた。今後は、店舗の充実が若い世代をひきつけるカギのなるとみる。「カフェなどの様々な店舗が点在するような環境つくりや、若い人が団地内で商売を始める後押し策があれば、もっと魅力的な街になるのでは」と語る。