2014年1月 神戸新聞

「新発想 住み続けるため」に掲載されました。


築45年が過ぎた明石市松が丘1の5階建て分譲マンション。昨年末、建築業の清水大介さん(フロッグハウス)がビラを配り歩いていた。この建物は中学卒業まで暮らした“マイホーム”。明舞団地で部屋の改装を手掛ける清水さんは、地元のつてを頼りに、眠った物件の掘り起こしを進める。

明舞団地の老朽化した集合住宅では、空き家になったまま買い手がつかない物件が目につく。住民の死亡時や施設入居後、賃貸も売却もされずに放置され、倉庫代わりに使用されている部屋もある。清水さんが事業を始めた背景には「このまま空き家が増えれば、生まれ育った団地の活力がますます失われてしまう」との思いがある。

清水さんは2012年、分譲マンションの1室を改修し、女性3人が暮らせる「シェアハウス」を設けた。上下階がある「メゾネット型」で、上階3部屋は個室、下の階にあるキッチンなどは共有スペースにした。無垢材や明るい色の壁紙でイメージ一新し、家賃は家具付きで1人3万5千円ほど。これまで20〜40代の計8人が利用した。

この部屋を借りる宍粟郡出身の岡住正美さんは「神戸、大阪のアクセスがよく、家賃も節約できる」と話す。

清水さんは、リノベーション(大規模修繕)を行なった部屋の分譲も計画。1軒目には自身が入居するという。妻の美樹さんも明舞団地出身の幼なじみで賛同してくれた。「実際に住むといい場所なんです。若い人が抱く古臭いイメージを拭い去るような物件を増やしたい」