【報告ブログ】市営住宅の在り方を団地の経験値で解く。
一般社団法人リノベーション協議会の社員総会で、昨年のリノベーション・オブ・ザイヤー800万円未満の部最優秀賞を頂いた芦屋市営住宅のリノベーションのお話をさせて頂く機会を頂戴しました!

フロッグハウスも加入している「一般社団法人 リノベーション協議会」。
唯一「リノベーション」という名前の付く業界団体です。
東京大学の講堂にて、まずは社員総会が粛々と進行しました。

続きまして、プレゼンテーションです。
今回は部門賞と呼ばれる各部門の最優秀3社と、グランプリの1社で合計4社(4人)がお話する機会を頂戴しました。
下記報告ブログは「プレゼン苦手な清水の為の原稿下書き」です。
なので、噛んだり飛ばしたりした部分はあれど・・ほぼこの通りかと思っています。
#始発の新幹線で上京して、一人カラオケに篭ってプレゼンの練習したけど・・
#「対話」は好きだが、「説明」が苦手。なのでプレゼンは最たる苦手項目。
フロッグハウスの清水と申します。
本日は宜しくお願い致します。
まず最初に断っておきたいのですが、私自身は現場の職人上がりでしてこうして人前でお話させて頂くのはメチャメチャ苦手です。
なので、原稿を見ながらお話をさせて頂きます事をご了承ください。
カッコイイプレゼンは出来ませんが、一生懸命お話しさせて頂きますのでどうか暖かい目でお願い致します。
フロッグハウスは「地域で眠っている資源を再生して新しい風を起こす」という理念を掲げて創業しました。
現在16期目で、リノベーションの設計施行を一貫で請負させて頂いています。
スタッフは私を含めて2名です。なので、リノベーション・オブザイやーは二人しかいませんが、いつも「社員総出」で参加させて頂いています。
フログハウスの事務所のある神戸市の郊外は特に築45年超えの団地がたくさんあるエリアでして・・
かつては「山を削ってニュータウンにする」という開発手法が注目を浴びましたが、近年これらがオールドニュータウンとして「高齢化・空室化の最前線」として違った意味で注目されています。
私もこの中にある明舞団地という団地出身なのですが、40年前は子育て世帯で賑わっていましたが・・2026年現在は、日中は明らかにお年寄りが目に付きます。
依頼主は施主さん・賃貸オーナーさんなどで、直接ホームページなどを見てご依頼頂いています。
事例が事例を呼ぶ様なカタチでして、2025年度はリノベ案件13件のうち11件が築45年以上の団地案件でした。
当然エレベーターなんて高級な乗り物はなく・・
右下のグラフはスタッフ笹倉の1日の階段登った階数です。こんな風に、日々団地型物件に相対しています。
そんな私たちが今回手掛けたのが芦屋市の市営住宅でした。
築50年越えがデフォルトの僕達から見たらこの団地は築37年で、「新しくて洒落ている」という印象でした。
芦屋というと「高級住宅街」のイメージが強いと思うのですが、昔からいいものを作る気風があったそうです。
なので市営住宅と言えどコンクリート打ちっぱなしの外壁であったり、中庭があったりと「小洒落た」雰囲気が漂っていました。
にも関わらず、高齢化率は50%超えていて、空室もある様な状況でした。
立地も悪くなくて、ビーチまで徒歩3分くらい、北側の部屋からは六甲山も望めるというエリアです。
芦屋市は大阪ー神戸の阪神間に位置していまして、交通の便も悪くない。
いつもやってる物件より、条件は良いと感じました
中の改装前の状況です。キッチン・浴室などは流石に古くささが目立ちました。
これは「原状回復工事済み」の状況です。
実は芦屋の市営住宅には、毎年100戸程度の空室に対して140世帯ほど入居の申込みがある状況だそうです。
にもかかわらず全体として満室にならないのは、申し込み世帯が高齢者の単身や二人世帯のため、エレベーターがある住宅や、1、2階の物件に需要が集中しているからだそうで、エレベーターがない3階より上のファミリー向け物件はこのように空室が続いていたそうです。
なのでこのお部屋も実は改装済みで「入居者募集中」でも「空き家になってる」という状況でした。
そこで芦屋市さんは「若者・子育て世帯の入居」をテーマに予算を組みました。
ただ、住めなくもない住居に対して追加で予算を取ってくるのは難しいっということで・・
空室のまま家賃が支払われない状況での損失額を算出して、その金額内で工事費をおさめることにしたそうです。そこに国からの補助金を合わせて、1戸につき500万円という金額で業者のプロポーザルを募ることにしました。
そのプロポーザル提案募集に対してフロッグハウスが応募して、採用されて、施工したのが今回の案件にります。
今回はで全部で3戸 合計1500万円のプロジェクトだったのですが、間取りが全部違うので同じものを3つ作ったのではくて、それぞれに考えました。
出来上がったのがこちらになります。
計画段階であったのは、「500万円であれもこれも出来ない!」という割り切りでした。っというか開き直りでした。
フロッグハウスは設計施工一貫で材料・建材も自分達で仕入れて中間マージンをカットしているので価格競争力はあると自負しています。
でも、近年の建築コスト上昇の中で予算500万円以内でどうするか?
まず、公営住宅である以上「おしゃれ自慢対決ではない」と割り切りました。その分を「暮らしの質の向上」(特に換気計画・窓断熱)に特化しました。
キッチンは子育て世帯が子供を見守りやすい様に対面化を行いました。
洗面台は新しいメーカー品が付いていました。好みではないですがそのまま使って新たに稼働棚を設置しました。
建具も塗装で塗っただけです。でも窓はお金掛けて二重窓Low-eの内窓を設置しました。
神戸の垂水区 明石市などの瀬戸内海沿岸部は温暖で、24時間換気と内窓設置でほぼ、団地特有の窓の結露からは解放されます。
また、賃貸住宅は隣人の生活音が苦情として多く存在します。内窓を設置すると外からの音だけでなく、内側の騒音も外に漏れにくいです。今回は子育て世帯がターゲットになるので子供が多少騒いでも近所に音が漏れにくいので、お母さんのストレス軽減にもなるので設置しました。
浴室はエコジョーズのパックイン給湯器に変更しました。窓断熱と合わせて年間光熱費が1.5万円安くなるという試算も出ていまして、生活のランニングコストそのものがコストカットされます。
必ずしも生活に余裕のある人ばかりではない市営住宅に対して、本質的に入居者に寄り添う意味合いも込めて、エコジョーズにしました。
ちなみに空き家の中にはバランス釜の給湯器から、「新しいバンス釜給湯器」に変わってる形跡のある部屋もありました。
市営住宅で「原状に回復する工事」というカタチで発注するとこうなる?勉強になりました。
スキーム上、省エネキャンペーンの補助金は貰えませんでした。
あと、浴室にも換気扇を設置してお風呂場しか繋がっていなかたお湯の配管を洗面・キッチンにも延長しました。
僕らが普段やってる築50年クラスの団地には断熱材・24時間換気がありません。そんな状態で見た目だけ綺麗にしても5年くらいしたらやっぱり結露でカビが映えたりクロスがめくれたりしてくるんですね。
また、お湯の配管から漏水が起こったりして折角綺麗にした部分を壊して漏水箇所を探したりするんです。
そんな教訓・失敗を重ねてきて、今では団地物件のリノベでは相談段階で「断熱・換気・配管の更新はさせてください」とお願いしています。
今回の物件は築37年と僕らがいつもやってるものよりも新しく、断熱材は入っていたので24時間換気と窓断熱、配管の更新を行いました。
僕らはリノベ後にお施主さんの家に写真撮影などで入らせて貰うのですが、団地特有の結露・カビからの解放は本当に施主さんの満足度が高いです。
「朝起きてまず、ビチャビチャの窓を拭く事から始めんで良くなった」と喜んで頂いています。
そうした経験値からもここにはこだわりました。
リビングには兵庫県産の杉の無垢を使用しました。
これも実は成功体験がありまして、築40年越えのエレベーターなしの賃貸物件で必ず無垢のフローリングを施主支給するオーナーさんが居られまして・・
無垢材は経年変化を楽しめるし、木を削ってメンテナンスができるから、入居者の入れ替えのたびに貼り替える必要性がない。回していけるから、長い目で見ればコスト安くつくと仰っています。
廃材もゴミ袋一杯でトータルコストで考えると決して高くないと思います。
初期費用がかかるので賃貸で無垢材が採用されることは少ないんですけど、特に今年になってナフサショックで石油由来品の入手困難な状況やコスト高を考えれば、今後もっと積極的に採用していきたいと思っています。
この3住戸は今年の4月から新たな子育て世帯が2世帯入居して、現在も暮らしてるとお聞きしています。
残り一住戸は今年のナフサショックで部屋が完成するかどうか?不安だったのであっせん時期に間に合わない時の為の保険として敢えてキープされてるそうです。
それと同時に、今年も3住戸がプロポーザルで出されまして、今年もフロッグハウス案が採択されて現在工事中となっています。
今回のプランは「市営住宅の在り方を団地の経験値で解く」というタイトルにもあります様に、日々団地リノベをやって来た僕らの経験値やアンチテーゼをギュッと盛り込みました。
勿論もっと盛り込みたい部分はあったのですが、予算とのバランスを考えるとどこを削って全体のバランスを保つか?の方が難しかったです。
でも、日々やって来た上で「ここは外せない」という部分はしっかり盛り込みまして、それが800万円未満の部の最優秀賞に選ばれたことはとても光栄に思っています。
今後は他の自治体にも芦屋市さんの様な考の考え方が広がっていくことで、多くの公営住宅が、再び多世代で賑やかになっていくことを願っていますし、それを成功事例として広めて行くことが、賞を頂いたことに対して報いることだと考えています。
ご清聴ありがとうございました。
以上が報告ブログになります。
人前でお話しするのはやっぱり好きになれませんが・・こうして、お招き頂ける事は嬉しく思っています。
約16年前の創業前に、起業支援の助成金の最終プレゼンで東京まで行ったのですが大滑りして全て徒労に終わった経験があります。
「もう助成金なんかいらん!自分で証明してやる!」っと決意してから、今日まで郊外型物件のニーズ、相場、特殊事情とがっぷり組み合って来ました。
#あそこで下手に助成金貰っていたら、今のフロッグハウスは無いと思う。
#東京に来るとあの時の事を思い出して思いも新たに。
これからも精進して行きますので、宜しくお願いします〜!















